Tuesday, 30 August 2016

What I read...匿名交叉

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kyy_R

 

「匿名交叉」 降田天:読了。

 

最初はドラマ化されやすいような
トラブルが後から後から降って湧いた系のエンタメ小説かなー、とか思いきや(これはこれで結構スキですが)、
後半残り70パーセントくらいすぎたところから怒涛の展開。

 

 

とにかく、とにかくそれまでに張り巡らされら伏線の数々が
一つの大きな線に収斂されてく

そのパズルのピースがピタっとはまっていく具合は気持ちがいいのだけど、
でもどうにもやるせない。なんせともかく救いがない。

 

 

小さな出来心やちょっとした悪意はそれぞれにささやかなのだけど、
結果これ程までに希望のない、痛ましい結果になってしまう。

 

強く糾弾するほどの罪を誰も犯していない。
とはいえ一人の人生を台無しにしてしまった罪をそれぞれが持ってる。

 

物語は結末を迎えず、「過程」の途中で最後のページを綴じることになる。。

本を閉じてちょっと考えこんでしまう。
何が、どうしてたら、いつ、誰が、どうしてれば、こうならなかったのか。
散々にシュミレーションしてるうちに当然の事実突きつけられる。
「たられば」は意味がないのだ。
小説世界の物語においても。そして現実においても。

 

エンターテイメント小説でもありつつ、
心の奥底の真理を問う文学的な側面もある物語。

 

著者は作家ユニット(鮎川颯さんと萩野瑛さん)ていう形態も含め、
なんかすごくこの作家さんが気になる&もっと読みたいって興味を感じる人たち。