「マイ・ストーリー」 林真理子:読了。
「本で自分を残す」ということを巡る
彼ら彼女らのオムニバスの物語。
SNSなんかで簡単に自己表現というか自分アピールという
「でしゃばり」が出来る時代だけど
(そして「でしゃばり」に対して世の中は肯定的になりつつある)
やっぱり人は自作自演(=自己プロデュース)によって
認められるより、
メディアという最大規模の「第三者」に評価される
(認められる)事によって
承認欲求なるものは「満足」にいたるのだと思う。
「書籍化」というのはその際たるもので
もちろんオファーが来たらハッピーだけど
そうでない受け口として「自費出版」がある。
お金で解決のできる範囲での
最大級の「自己承認の解決策」。
昨今はやりの「私を見て見て!」欲求の
言葉にしにくいモニャモニャなとこを
えぐり出す小説なのかしら、、、と思ったら
(林さんは本当に
自分自身でも整理の付かない感情だったり
言葉にする前の気持ちを
言葉でえぐり出す名手だと思う)
とはいえ後半はちょっと違った方向性になってしまって
案外そうでもなかったり。
とはいえ最後まで飽きずに読める
物語としての牽引力はさすがだと思う。
何があっても最後の最後まで
読む人たちに対し着地点を持っていこうという
「書く者」としての責任感を感じて。
プロって投げ出さないことだ。
着地点をちゃんと付けて「終わらせる」責任を持ってる。