「悦ちゃん」 獅子文六:読了。
この小説に関しては
枕元に置いといて、
寝る前に少しずつ読むのが
気がつけば一日の楽しみの一つになっていたりして。
えっちゃんはじめ、登場人物は
「心が赴(おもむ)く」事に対してとても敏感で。
「気持ち」に対してのアクションが
こちらが心配するほどに向こう見ずにストレート。
あたたかで、ちょっと強引で、
理屈の前に人情があって、とてもピュアで
思わず応援したくなるし、
山あり谷あり(結構強引なツッコミどころ満載)の物語を
見守り続けていたくなる。
舞台背景は昭和11年(1936年)の東京。
戦争前夜のこの時代のイメージは
なんとなく暗い印象だけど
(歴史の教科書の影響だと思う)
街には美しい街並みがあって、
音楽があり、ユーモアもあり、
お洒落があり、
気持ちの余裕がそこにある。
つまり文化としての成熟があったのが
この物語を読んでると感じることが出来る。
「おおらかさ」があった時代の文芸作品。