「呪文:星野智幸」 読了。
「クズ道という事は死ぬことと見つけたり」。
というこのフレーズ(呪文?)。
ある意味、三島的な。
この1フレーズに対して
少しでも引っかかりを感じた人は、
良いかそうじゃないか、
好きかそうじゃないか、を抜きにして
読む価値があると思った一冊。
美しくってのめり込むべき価値のあるこの「呪文」。
「クズはクズなりの生きがいを全うできる」という
つまらない人生なりにも、達成感を得ることができるという
生きる意義を見出せるという、その陶酔的な魅力に惹かれるうちに
洗脳は始まり、人は誰かの奴隷になっていく。むしろ喜んで。
そういった過程が逐一描かれている物語。
かつその舞台は、自分が常日頃行き交っている商店街。
明日は我が身というか
自分の身の回りにも「ありえない話ではない」というそのことに
背筋の凍る気持ちをかかえつつも一気読みしちゃう
物語としての「力」を感じる一冊。