「教団 X」 中村文明:読了。
宗教と(今のこの時代の)政治の本質がここにはあって、
そしてそれらを(意識的にも無意識的にも)求める人的真理の本質を
ついてる。
以下抜粋:
「今日本の中に気持ちよくなろうとしている勢力があります。
(※この「気持ちよくなろうとしている」ってフレーズは
本当に秀逸なフレーズだと思う)
第二次世界大戦の時、日本は気持ちよさを求めた。
個人より団体、国家をあがめよ。
その熱狂の中に身を置くことには快楽があった。
(中略)
大きな『大義』を得る事で、自分の人生を
自分で考えなくてはいけない『自由』という『苦労』から
解放された。」
***
旧日本国軍しかり、ナチスしかり
そして今のここの国の政治、
過激派のテロ組織、ある種の宗教しかり
「この道にそって生きればいいんだよ」
ってガイドラインを示してくれるのを、
人は自分の身が卑小である、とるに足りないものであると
感じれば感じるほど求めるようになる。
その道にさえいればいい、
考えずに進めばこの身はとりあえず安寧でいられる、
何よりみんな一緒に動くってなんか楽しいし気持ちいい。
(当然だけど最早「考えない」んだから、
いいか悪いかをジャッジする判断するという思考回路はない)
「教団 X」というタイトルが暗喩するものって
文字通り物語の中の教団(達)であると同時に
世界大戦のころの全体主義の国家だったり、さらには
今の日本を、世界情勢におけるもろもろのグループを指しているのかもしれない。
「気持ちよくなる勢力≒教団 X」が
今世界にはかつてないほど
その種類も、規模感も大きくきている、というその事実。